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チャリンコでの小さな旅


それは3年ぐらい前の話で、かれこれ5年ぐらい毎週末に100km前後のサイクリングを楽しんでいる。この日は夏の土曜日、いつものようにサイクリングに出かけた。家からは浜名湖が近いので浜名湖沿いを北に上がり西に向かい静岡県と愛知県の県境の標高250mぐらいの山を越え豊橋に出て帰ってくるのが私の定番コースのひとつ。

いつものように県境の山を越え新城側に出た。ここで、いつもなら南へ下り豊川~豊橋を回って帰るのだが、この日は、たまたま家族が用事で夜はひとりきり、また夏場で日が長いこともあってもう少し走ろうと考え、西に向かいもう一山越えることにした。

これは私の性分なのだが走っていて広い道と狭い道があると狭い方、上りと下りがあれば上りの方へ行きたくなってしまい、いつも人気の無い所へ出てしまう。この日も少し走ってと思っているうちにこの癖が出て来て段々、人気の無い走ったことの無い道へ迷い込んで行ってしまった。いつもなら走っているうちに広い道へと戻り問題無く帰ってこれるのだがこの日は違った。永遠と上り道でしかも段々と道端が狭くなり最後には舗装もしてない砂利道になった、しかも周りは木々に囲まれて陽の光も通らない処へ迷い込んでしまった。それでも一生懸命ペダルを回しがんばっていたが、ついに乗っていることもできないガタガタ道に、仕方なく自転車から降り、その場で持っていたスマホで位置確認。ところが位置が確認できない、地図にない道にいるので地図上の何もないところにぽつんと現在地の印があるだけどっちへどう行くかさっぱりわからない状態。時間を確認するとすでに午後3時過ぎ「ヤバイ、ここからだと家に着くまでに暗くなってしまう」と、思いながらもここが何処かわからないのが実態。

こうなったら「とにかく信じて進むしかない」と自分に言い聞かせ更に自転車を押しながら前進すると前からこちらを見つめる視線を感じた。誰かいるのかなと思ったら何と人間ではなく鹿だった。鹿二頭がこっちをじっと見つめているのである。野生の鹿をしかもこんな間近で見るのは生まれて初めて、何かとんでもなく貴重なものを見れて感動していると「なんだこいつ、見かけない奴だな」といった感じで無視して林の中を登って行ってしまった。

そしてまた、自転車と共に歩き出した。この頃には、500mlのスポーツドリンクも空になり、汗だくで脱水症状になりかけていた。それから30分ぐらい自転車を押しながら歩くとやっと前方が開けて来た。そして、ついに舗装された道、しかも上り、下り各一車線と広い道に出た。道は一本道で左は下り、右は上りでどちらもカーブしていて先までは見えない。いつもなら間違いなく上りを選ぶのだが、さすがに歩き疲れくたくただったので躊躇なく下りを選んだ。ところがこれが間違いだった、自転車に股がり風を受けながら快適に急坂を下っていったのも束の間。四方を山に囲まれた谷間で道は行き止まりだった。一難去ってまた一難。がっくりきて、今の坂をもう一度登らなければ帰れないと思ったら完全に戦意喪失、喉は乾くし、汗だくで脱水状態の極致。その時、天の助け、行き止まりの所に湧水が出ていた。はたして飲めるのかどうか、そんな事は構ってられない。空のペットボトルにその湧水を一杯入れ頭からかぶった、そして更に一杯を飲みほした。まさに地獄で仏、こんな美味しい水を飲んだのは何年ぶりというぐらい感動的な一杯だった。いつも走った後に飲むビールが最高なのだが、この水はそれ以上だった。そして、ペットボトルに水を入れ少しの休憩をとってから坂を登った。結構きつい坂だった。やっとのことでさっきの所まで戻った。ここで上へ行けば良かったと後悔しながらさらに上ると少しカーブした先がすぐに頂上だった。やっぱり信念は曲げてはいけない上り、下りでは上りを選ぶべきと反省した。

そして頂上の先には、山もなく平野が開けていた。そこにはたくさんの畑と民家が見えた。やっと下界が見えた。時計を見ると5時を過ぎている。なんとか明るいうちに家までと一気に坂を下った、すると下りきったぐらいのところで畑仕事している男性から「おーい」と大きな声で呼び止められた。急ブレーキをかけ止まると驚いた表情で「お前、どっから来たんだ」と、「浜名湖の方から」と答えると更にビックリして「この上に道なかったろ、どこ通って来たんだ」、道に迷ったことを説明すると驚かれるやら笑われるやら、折角だったので、このおじさんに道を聞き、なんとか町へで家にたどり着いた。時間は8時を過ぎですっかり暗くなっていた。

ハプニング続きの長い一日ではあったが、鹿に出会ったり湧水を飲んだり普段では味わえない感動的な一日だった。今になって思い出すとその時の写真が一枚も無い。パニック状態で写真を撮る余裕も無かった。それを少し後悔している。

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OYJ 61

Author:OYJ 61
昨年還暦を迎えました。自分の時間が取れるようになったので、自分史を何処かに綴ってみたいと思い始めました。「他人の噺なんかどうでもええは」という声が耳元でしています。
そんなのは無視し、内容は趣味の自転車を中心にしようと思っています、その他にはアメリカ6年半、イタリア2年半の滞在経験もあるので、そんな思い出話も書いてみたいなと考えています。

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